「セルフ触診」で痛みの原因を自分で突き止めましょう。

連動した痛みの大もとを知るための方法をお教えします。

・股関節のセルフ触診

まず椅子に座って
右でも左でもどちらでもいいので、4の文字を作るように足を組みます。

組んで水平になっている方の脚の膝を両手で軽く押していきます。

このときに股関節に痛みが走るようなら、膝や腰に痛みがあると思っている場合でも、痛みの大もとが股関節にある可能性が高いです。また、もう一方の足でも同じように行ってみて下さい。

 

全身が映る鏡の前で片足立ちになります

このときにどちらかの肩が下がっていれば、自覚している痛みがどこであっても股関節にもトラブルが発生している可能性が高いです。この方法でもまた、もう一方の足で同じように行ってください。

他にも、ご家族の方にまっすぐ立った姿勢を後ろから見てもらい、どちらかのお尻が下がっていないかどうかを見ることで、股関節の隠れたトラブルを見つけることもできます。

股関節のセルフ触診で痛みの大もとが見つからなかったら、次は膝のセルフ触診に移ります。

 

・膝のセルフ触診

まず、当たり前のことながら、両膝を見比べてどちらか一方が腫れて大きくなっているようであれば膝関節にトラブルが存在している可能性が高いです。

床に座って膝を伸ばした状態になり、いわゆる「膝のお皿」(膝蓋骨)を手で上下左右に動かしてみて下さい。このときに痛みがあるかどうかを確認しましょう。

さらに、膝を曲げた状態で「膝のお皿」の下部を、内側から外側まで指で押して痛みがないかを確認します。

これらの箇所に痛みがあれば、膝関節に問題が隠れている可能性があります。

 

・腰とお尻のセルフ触診

腰やお尻が痛む場合は、次の検査を行ってみて下さい。

まず、椅子に座った状態から膝を伸ばして足を水平に上げてみましょう。

このとき、お尻から太ももの裏やふくらはぎ、かかとにかけて痛みやしびれが走るようなら、坐骨神経痛の可能性が高いです。

この坐骨神経痛という病気は、腰周辺の背骨で起こっている椎間板ヘルニアや、お尻の筋肉である梨状筋の問題などが原因で起こるケースが多いです。つまり、この場合は股関節が痛みの大もとである可能性は低くなるのです。

この検査で坐骨神経痛ではないと判断できたら、次は

椅子に腰かけて背中に手を回し、背骨の左右のへこみを手の届く範囲で、上から下まで親指の腹でグッ、グッと押してみましょう。

これで痛みがあるようなら、腰のヘルニアや腰椎の変形などが痛みの元になっている可能性があります。

なお、これらのセルフ触診はあくまで痛みの大もとにおおよその目安をつけるためのものですので、最終的な判断はきちんと医師にしてもらうことが大事です!

 

〇「慢性痛サイクル」によってますます痛みがひどくなる

股関節に痛みがあると、どうしても動きたくなくなり、できるだけじっとしていたくなるものです。

しかし、ずっとそのような状態でいてしまうと股関節は次第に硬くなり、可動域が狭くなっていきます。さらに、股関節周りの筋肉も少しずつ弱く細くなっていき、筋力が衰えてしまうのです。

こうなるとさらに動きたくなくなり、なるべく動かさないようにしてしまう…。

と、このような悪循環を「慢性痛サイクル」というのです。

この「慢性痛サイクル」に入ってしまっている人は早急に治療に取り組み、悪循環を止めなければなりません。しかし、本来はここまで進行する前に治療を始め、予防をすることが重要なのです。

 

 〇その痛みはもしかしたら心理的な要因がかかわっているかも…

股関節に限らず慢性的な痛みを抱える患者さんでは、全体の16%~79%もの人に多かれ少なかれ抑うつ傾向(塞ぎ込んで物事に対する興味を無くしてしまい、食欲が減ってしまったり自殺を考えてしまったりすること)やうつ病の症状が見られます。

近年、こういった精神的・心理的な状態が痛みを増幅させているのではないかと考えられています。

そもそも「痛み」というものは、本人しか感じることができません。なので、普通なら1程度の痛みと感じるものでも本人には10に感じる事もあるのです。このように痛みとはハッキリしないものなので、本人が痛いと思ったとしても、それが本当に膝関節の異常から来ているものなのかは定かではないのです。

例えば、本人があまりにもその痛みにだけ集中してしまうと、さらに強い痛みを感じるようになってしまうことがあります。こういった状態は、認知の歪みや痛みへのこだわりから生じてくるため、精神科医や臨床心理士などによるカウンセリングを受けることで改善されるケースが多いのです。

 

〇関節の痛みは連動する

股関節は立ったり歩いたりするときに、全身のバランスをとる「かなめ」として働いています。この働きがあるため、股関節にトラブルを抱えると、膝や腰、足首などそのほかの関節にも連動して痛みや障害を引き起こすことがあります。

例えば、変形性股関節症が片脚に発症してしまったとします。すると、その痛みを避けようとして全身のバランスが悪くなってしまい、周囲の関節にかかる負担が大きくなってしまうのです。それがきっかけでそれぞれの関節で筋肉が不自然な形に緊張したり関節の破壊が進んだりして、強い痛みが出ることがあるのです。

特に股関節に連動して痛みが出やすいのは膝です。股関節の痛みから「変形性膝関節症」を誘発しやすいとも言われています。また腰に関しても、筋肉の緊張やこわばりなどから痛みが連動しやすいとされています。逆に、腰や膝から股関節に痛みが連動することもあるのです。

また、痛みを伝える太い神経が首⇒腰⇒股関節⇒膝⇒足と一本でつながっているため、股関節で発生している痛みを脳が腰や膝など他の関節の痛みだと誤って認識してしまう、といったこともあります。

こういった連動した痛みの場合、普通であれば原因を作った関節も痛みますが、周囲の関節の方が先に痛みだしたり、本来の歪みの原因となっている関節は全く痛まず、周りの関節ばかりが痛む、というケースがあります。こうした事情があるために、例えば整形外科などに行って膝が痛いですと伝え、レントゲンを撮ったのにもかかわらず、特に異常が見つからずに湿布だけもらって帰ることになってしまうのです。

このようなケースでは、連動して痛みが出てしまっている関節を治療したとしても、痛みの「大もと」になっている関節を治療しない限り、何度でも症状が復活してしまう可能性があります。