
界 整骨院の戸軽です。突然ですが交通事故に遭い、鎖骨骨折をしてしまいました。しばらく界整骨院を休診すると共に、ご予約頂いた患者様に多大なご迷惑をお掛けすることをお許しください。
1月13日㈰の事です。
ご予約頂いていた患者さんを終え、小型スクーターで本院へ移動していた所、片側2車線の大通りに面したファミリーレストランの駐車場から出てきた乗用車が、私の走っていた第2車線にまで道を防ぐかのようにゆっくりと横断してきました。
私はブレーキをかけましたが、間に合うか判らなかったのでハンドルを右に切り、車体を寝かして回避しましが、オートバイが車体とぶつかり、その反動で左肩から頭部にかけて相手の車に叩きつけられました。
幸い意識もあり出血が無かったこともあり、自力で起きれたものの、左腕を上げることができませんでした。コンビニエンスストアの前という事もあり通行人が大勢いらしていたので救急を直ぐ呼んで頂けました。
交通事故の瞬間に痛くなった箇所
- 頭部打撲
- 肩の痛み
- 腕が上がらない
- 左背中が痛い
- 両膝が痛い
私自身の判断は、頭部打撲の影響で
- バットで殴られた様な痛み
- 生あくびがやたらでる
- 目が泳いだりうつろに
- めまいやふらつき
- 手に痺れや冷え
- 倦怠感
といった徴候が現れていないことが幸いでした。上記6つがあると、脳内出血・硬膜外血腫の疑いがあるため非常に危険です。
肩の痛み・腕が上がらない事で考えられること
- 触った感じ少し出っ張っている
- 鎖骨骨折か肩鎖(けんさ)関節の脱臼の可能性
- 肩鎖関節の靭帯の損傷の可能性
- 肩甲骨上部の筋肉の腱板(けんばん)損傷の可能性
が疑われましたが、そのほか背中と膝の痛みはとりあえずおいて置きます。
救急隊が到着しました
この時点で出血を伴うケガをしていたらまた状況が違っていたかと思いますが、大まかには頭と肩を打っているので、搬送するとどこの病院になるかを伺うと、金沢病院に運ぶ予定と言われました。ところが脳神経外科の先生が日曜不在のようなので、肩だけとの事でしたので、いずれにしても頭部は後日との事でした。
出来れば何度も病院に足を運びたくはないので、救急隊にはバイタルと瞳孔反射の確認と、自分では目視出来なかったので鎖骨が折れたり脱臼していないか?の確認をして頂きました。
自分で触った時点では、少し変な感じでしたので、救急隊の方に確認して頂いた所、目に見えて徴候は出ていないとのことでした。膝の打撲と擦過傷(さっかしょう)が酷かったので、そちらの応急手当だけして頂きました。

ズボンをめくったら真っ赤っ赤でしたね。おそらく直前に右にハンドルを切って旋回したのでその時に地面で擦ったのかもしれません。すり傷にガーゼを当ててもらうだけでしたが、ズボンにこすれなくなるだけで痛みが和らぎました。
リアルな外傷症状です
ここで新入社員の柔道整復師の先生に外傷を触診してもらいました。鎖骨付近の外傷は整骨院では良くある外傷ですので、研修にはもってこいの症状なんです。まさか自分が研修材料になるとは思いませんでしたが・・・良い機会?なので、思う存分スタッフ皆に視診・触診・検査をして頂きました。
肩付近を強打した時の実際の症状
- 自力では腕をゆっくりとした動作でしか動かせない。
- 出来れば90°以下までしか動かしたくない。
- 腕を上げると重苦しい痛みが起きる(鎖骨から腕の三角筋まで)
- 痛みを我慢すれば上げられるが降ろすと腕も重さに耐えきれず重い痛みがでる。
- 降ろしている時は何かの上に手を乗せていないとつらい。
- 肘を折りたたんで後ろに引いた状態が楽な体制(疼痛緩和肢位)
- 鎖骨の端の方に限局性圧痛(げんきょくせいあっつう)がある(押すとピンポイントに痛みがある)
- 両肩を見比べるとわずかに折れている方の鎖骨の端が上がっている
- 首肩や背中の筋肉が非常につかれる。
とこのような感じです。
教科書的な症状の『ピアノキー症状』や『階段状変形』はこのケースでは見られませんので、イイ臨床例になったと思います。
タクシーで戸塚共立第1病院病院へ
この間に日曜という事もあって病院があまりやっていないこともあり、救急で調べて頂いたら戸塚の病院に両方診て貰える所が有り、タクシーで行って参りました。
受付を済ませると、既に診察券が出来ていて救急外来の入り口に案内されガウンに着替えさせられました。
夜中でも、お医者様に御高診頂きました
まず「脳神経外科」のお医者さまに診て頂きました。ココではぶつかった時の状況を説明して、現在怪しい症状が出ていないかの確認を取りました。
次に「整形外科」のお医者さまに診て頂きました。ここでは肩と背中、膝から下のすり傷を診て頂いたのですが、左足の膝とスネはヒドイ様で、膝がしらの皮膚が一部壊死していたり、スネの表面の皮膚が完全に取れちゃっている部分がありました。
肩についてはさすがお医者様!ズボズボ指で突いてくるくる!イタイわ痛くないわで(実際痛いんですけドネ)確認されて「じゃあレントゲン取りましょうか」と言ってレントゲン室に案内されました。
レントゲン撮影と、頭部CT

レントゲンは左肩と膝を撮り頭はCT で撮影して処置室へ戻りました。特にうるさい音はありませんが寝たり起きたりで肩に負担がかかり大変でした。
レントゲンは3方向からそれぞれ撮影していき、肩はそれほど大変ではありませんが、膝を撮影する時は寝たり起きたりがやはり大変でした。
再度処置室へ
先ほど撮影した画像を見ながら異常が無いか診て頂きましたところ、脳へのダメージや頭の骨などに異常はなく問題ないとの事でした。
整形外科では膝は何かやったか聞かれましたが、昔ひどいオスグットをやったことがあると言ったら納得していましたが、画像を見るとその跡が凄いことになっていました。
鎖骨は案の定「ポッキリ」折れていました。
端の方で大きなズレも無いことから1~2度程度の損傷でも、保存療法が一般的とはいえ20%程度の偽関節(ぎかんせつ)と言って、くっつかないで終わってしまうパターンがあると言っていました。
そして一応手術適応だけどどうするかはお任せしますと言われました。

手術適応となる理由
本来なら保存療法と言ってクラビクルバンド(鎖骨帯)で、胸を張ってタスキ掛けにベルトを巻いて、可能な限り動かさない様にして安静固定をしてく方法が一般的です。
もちろん今回のケースでも以下の理由から保存療法になります。
- 折れた骨同士のズレ(転移)が小さいこと。
- 複数の骨折や脱臼の合併が無いこと。
骨折した場合それぞれの骨を骨片(こっぺん)と言います。体に近い側を「近位骨片」遠い側を「遠位骨片」と言います。
しかしこの程度でも手術適応になる理由があります。
- それは思ったよりも骨折した所が外側だったからです(このケースでは遠位骨片が小さい為)
- クラビクルバンドでの固定では完全固定ではないので、(日常生活動作で骨の付きが悪くなります)
- クラビクルバンドは自分では付け外しは不可能ですので(独身の一人暮らしの方には日常生活が破綻します)
以上のことから私が今回の鎖骨骨折で手術を決めた理由になります。もし保存療法を選択した場合ですとバンド固定後、早くても2週間は付きませんし仮についても大体ズレます。これが一カ月かけてようやく外れない程度まで固まります。そしてここからようやくリハビリが開始されます。
手術となりますと、2~3日の入院は必要ですが保存療法での1か月間が大幅に短縮され、病院の手術日程にもよりますが半月でリハビリ開始にたどり着けます。
私の場合は骨折後10日目には入院し11日目に手術、12日目には退院して18日目には抜糸とリハビリ開始になります。これだけでもかなりのビハインドになります。
手術は意外と面倒です
確かに骨をくっつけるには手術をする方が早いですが、意外と様々な面で大変です。というかたどり着くまでが面倒です。
術前検査
保存療法を選択した場合はこのままレントゲンを確認してクラビクルバンドをして退院になりますが、手術するという事でCTを撮り直ししました。
その他術前検査は以下のことを行いました。
- 尿検査
- 心電図
- 血液検査
- 呼吸器検査
この術前検査をクリアしないと手術を受けることが出来ないのです。
手術の説明と同意
これはCT画像を見ながら、担当の先生が患者本人と家族の前で説明を行います。
- どのようなケガなのか
- 手術の日程
- どのような方法で手術を行うのか
- この手術に対するリスク
- 術後のケア
- 後遺障害のリスク
などが説明され、同意書に署名します。
私の場合は翌週の火曜日の午後から入院し翌日手術、木曜退院という日程で行われるとの事。
術式はプレートを当て固定する方法で、全身麻酔を使うことになるので入院になるようです。
手術のリスク
手術の一番のリスクは感染症です。身体は皮膚で密閉されていますので、体の中は免疫機構のお陰もあり「無菌」状態なのです。手術で身体を開くので、細菌やウイルスの侵入を許してしまいます。そのために十分耐えられるだけの体力や免疫の力が必要になります。ピンときた方もいらっしゃるかと思いますが、HIV抗体検査も行われます。
もう一つは麻酔です。神経をマヒさせる必要がある半面、菌やウイルスの侵入に耐えられません。それに昏睡状態から覚まさなければなりません。このため高度な専門知識を持った麻酔科医が別途つくことになります。
手術するにあたりもろもろの手続きを一気に済ませて22日の手術に滑り込ませる段取りをつけていきました。(この日神奈川県にインフルエンザ警報が発令しました)